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融合学域を目指す方へのメッセージ

2022.04.25 融合学域 受験生

融合学域 中山晶一朗 教授

〈融合力〉で物語を紡ぎ,世界・未来をつくる主人公

融合学域を目指す方へのメッセージ

 金沢大学融合学域とはどのようなところでしょうか。皆さんはどのようなところとお思いでしょうか?
 融合学域は令和3年度新設された全く新しい学域です。最近できたという意味での新しいだけでなく,これまでとは全く違った新しい学びをするところという観点でも新しい学域です。

 どのような学びをするところでしょうか。皆さんがアクティブに学ぶところが融合学域です。「?」と思った人もいるかもしれません。最近よく聞くアクティブ・ラーニングのことかと。いわゆるアクティブ・ラーニングよりももっとアクティブです。単に専門知識をアクティブに学ぶというよりは,「なぜ」「何を」「どう」学ぶのか自体についてもアクティブ・主体的で,皆さんが真に主人公です。

 このように真にアクティブに学ぶには,「なぜ」という問いを発する主人公たる〈私〉の主体性(アクティブさ)と「本質を理解して見抜き,それらを整合的に組み合わせて構築する力」とも言える〈融合力〉が必要になると考えます。

 「なぜ」「何を」学ぶのかという問いは主人公たる〈私〉の中にあり,〈私〉の人生という物語の中で紡がれるものと思います。つまり,皆さんがそれぞれのやりたいことや未来を実現するために「問い」を発し,どうして学ぶのかや何を学ぶのかなどを考え,学んでいきます。このようなアクティブ・主体的な学びの仕組みとしては,こうありたいという未来からバックキャストしながら,学びのロードマップとしての「学びの計画書」を作成し,学域科目にこだわらず自由に履修できる「自主選択枠」も活用しながら一人一人のオリジナルなカリキュラムとして学んでいきます。この学びは主人公たる皆さん一人一人の〈私〉という物語を紡ぐ営みの一部と言うことができ,〈私〉という物語の一部に金沢大学融合学域が埋め込まれるということになります。これは,金沢大学融合学域が皆さんを入れるというよりも,皆さんが〈私〉という物語に金沢大学融合学域を埋め込むということで,主人公は真に皆さんであり,皆さんが真にアクティブ・主体的に取り組むということです。

 このように物語を紡ぎ,真にアクティブ・主体的に学ぶためには〈融合力〉が必要と考えます。テレビドラマは限られた時間の中で一つのストーリー(物語)を展開する必要があり,エッセンス・局面を絞り,辻褄が合うように話を展開します。「本質を理解して見抜き,それらを整合的に組み合わせて構築する」という〈融合〉がなされています。「何を」学ぶのかは,皆さん自身が主人公の〈私〉の物語の中で,エッセンスとなるものを〈私〉が主体的(アクティブ)に選びます。他の学部や学域では,教わることは〈私〉以外から所与として与えられ,例えば法学や医学というように限定された専門知識を教わります。ある一つのみの専門分野の知識の量を比べると,その専門分野に特化した学部や学域で教わった方が良いでしょう。しかし,皆さんは少なくとも皆さん自身の人生という〈私〉の物語の中を生きており,その物語の中でエッセンスやコアとなるものを一つだけではなくて全て学ぶ必要があると思います。また,エッセンスやコアを理解することは非常に重要ですが,必ずしも専門分野の細部やささいなことまでも教わる必要はありません。融合学域では,学域での様々な演習や実習などを通じて養う〈融合力〉で皆さん自身の人生という〈私〉の物語を紡ぎ,それを踏まえて「なぜ」学ぶのか,「何を」学ぶのかをアクティブ・主体的に決めることができ,それらの学問や分野のエッセンスやコアをしっかりと学ぶことができます。

 このような〈融合力〉をもつ主人公たる〈私〉は自分の人生だけでなく,〈世界〉をつくる人でもあります。ここでは,〈私〉から〈みんな〉への展開があります。〈私〉は〈私〉のみが登場人物の物語ではなく,様々な人が登場します。そして,ストーリー・物語やその舞台全体の〈世界〉が構成されます。〈世界〉は世界の国々と言うときのような全世界という意味というより,世界観という言葉の世界に近いもので,その大きさは様々で,その大きさに優劣は基本的にはないものを想定しています。かかわる人数が少なく濃密な〈世界〉の物語もあるでしょうし,全人類というような壮大な〈世界〉の物語もあります。このような〈世界〉の中には〈私〉以外の人々もおり,これによってさらに深遠で複雑な〈物語〉となります。〈世界〉の中の〈私〉以外の人々と〈私〉は無関係ではなく,様々な関係性の中で相互に影響を及ぼしあいます。このような関係性は自動的に発生したり,所与というよりも,全てではないにしても主人公たる〈私〉がつくりあげるものであり,それには〈私〉を含めた〈みんな〉を融合させる〈融合力〉が必要になります。上で融合とは「本質を理解して見抜き,それらを整合的に組み合わせて構築する」と書きましたが,一人一人を理解し,整合的に一人一人の関係性を構築することが求められると思います。融合学域で養った〈融合力〉で〈みんな〉を融合して〈世界〉をつくるということになります。

 融合力で物語を紡ぎ,世界・未来をつくる皆さんをお待ちしています。